田原 重男さん【中通地区】
うちの放牧場は斜面が多くて豚も上り下りが大変じゃないかと思うけど、人がやって来ると斜面を一斉に駆け下りて見にくる姿や、林の中で飛んだり跳ねたりして遊ぶ姿を見るのは面白いね。放牧場を囲っている電気柵のバッテリーが減って電圧が低くなると、1,2匹柵を越えて脱走することがあるの。だけど外に出た豚も時間が経つと、寂しいのかちゃんと柵の中に戻って来るんだよ。それぞれ気ままに遊んでるように見えても仲間意識があるみたいだね。豚を育てている期間は毎日世話しなきゃいけないから家を空けられない。大変なこともあるけど、十何年も続けているのは、おいしいって言われる嬉しさと、やっぱり生き物が好きだからかなぁ。
安藤 尚さん・桂子さん【太田地区】
小谷村に移住してきてすぐに野豚のことを教えられ、食べさせてもらい「こんなに美味しいお肉があったんだ!」という驚きと、珍しい豚の放牧という仕事に興味を持ったので、飼育を始めました。やってきたばかりの子豚はおどおどして豚舎から外に出るのもおっかなびっくり。少しでも早く安心していっぱい遊べるように、飼育期間にあわせて少しずつ放牧場の大きさを拡げています。慣れてきて、自分たちを追いかけてくるようになると可愛くて、あ、子供を育てているみたいだなって。小谷村には名産品も名物もたくさんありますが、その中でも「おたり」の名を冠した名産品を作っていることに喜びを感じています。
井上 聡也さん【来馬地区】
見渡す限り山しかない小谷村において、たくましく山を駆け上がっていく野豚はこの村を象徴する名物だと思います。小谷へ移住して2年目、僕はその野豚の飼育をすることになりました。全くやり方がわからないので一から教えていただきました。大変なことばかりですが、豚くんたちを見ていると癒されます。僕が放牧場や豚舎の中に入ると「ブホブホ」と言って寄ってきては鼻でつついてきます。両腕を伸ばして寝てる姿もかわいいです。おいしい肉に育て上げてたくさんの人に食べてもらうためにやることは山のようにありますが、とりあえずの目標は村で買うことができない野豚を買えるようにしていくことですね。